日本では現在、3分の1を超える世帯で、
犬・猫を中心としたペットが飼育されています。
動物たちとの生活は、もはやペットブームという垣根を越え、
日本人の暮らしの一部となっているのです。
社会の中では、一緒に暮らしている動物を、ペット(愛玩動物)ではなく、
コンパニオン(伴侶動物)と考える人も増えてきています。
言葉に敏感になってきた現代人は、
「ペット」や「愛玩動物」という呼ばれ方に抵抗を感じる人もいるようです。
「同じペットであっても、コレクター的に動物を手元に置いている人と、
そうでない人では愛情の方向性が違うのだから、分けて考えるべき」という主張です。
「ペット」と「コンパニオンアニマル」の間には、
法的に明確な区別があるわけではありませんが、
少なくとも100%イコールではないということはわかります。
「ペット」という言葉には、飼い主から動物への
一方的な支配関係を意味するようなニュアンスがあります。
それに対して、「伴侶」という言葉には、認め合った相手と居住空間を共有し、
生活をともにする「家族」という意味が込められています。
しかし、もともとペットとそれ以外の動物の違いは、
特定の仕事や役割を与えられているかどうか、という点にありました。
特に役割を与えられることなく、住む場所と食事が人の手で用意されて、
愛玩の対象となっている動物のことをペットと呼んでいたのです。
一方、盲導犬や災害救助権など、人間に役立つように訓練され、
それを生業とする動物がペットと呼ばれることはありません。
また、肉や卵や牛乳を摂る為に飼育されている動物も、
家畜と呼ばれ、ペットと呼ばれることはありません。
こうしたことから、ペットやコンパニオンという呼び方については、
言葉としての定義は存在するものの、共に暮らす動物がペットなのかどうかという認識は、
飼い主それぞれのの意識の中にのみ存在すると言えるでしょう。