猫も永遠に生きるわけではありません。
遅かれ早かれ、老化のサインを見せ始めます。
運動量が減り、食後に口の周りをきれいにする以外は毛づくろいもしなくなり、
より頻繁に、より深く眠るようになってきます。
猫はいつも身近にいるので、猫の身体に起こっている微妙な変化には気がつきにくいものです。
それに猫は病気になっても症状を隠すのが上手ということもあります。
しかしそれでも、飼い主はある日ハッキリとわかるようになります。
愛猫が、めっきり衰えてきたことが。
衰弱は、じわじわと忍び寄ってきて、いきなりその速度を速めるかもしれません。
何も食べ物を受け付けなくなった状態が2,3日続くと、取り返しの付かない臓器障害が始まります。
この警告段階のサインを見逃さず、その意味を理解し、すぐに行動に移さなければなりません。
内臓がやられてしまうと飼い主は、猫を楽にしてあげるか、
それとも猫の最期の日まで快適にしてやるために献身的な介護をするかを選ぶことになります。
食べ物を受け付けなくなった猫は、身体に蓄積された脂肪の量にもよりますが、
2週間ぐらいは生き続けることはできます。
あなたの猫のことは、誰よりもあなたが一番よく知っているはずです。
飼い猫の食や行動の変化は、他人には気づかないものです。
猫が長く悲しげな声で鳴いている時は、痛みを訴えているのかもしれません。
また、猫が喉をゴロゴロ鳴らすのは、必ずしも幸せで健康だというわけではありません。
猫は、痛いときや、怖いとき、眠っているときでも、喉をゴロゴロと鳴らすことがあります。
長く苦しい最期を迎えるよりは、素早く慈悲深い「し」を与えてあげる方が、
猫にとっては好ましいことかもしれません。
どちらにせよ、決断するのは飼い主の仕事です。
自問を繰り返し、考えに考えぬいた結論であれば、愛猫も応えてくれるはずです。
もし選ぶことができるのであれば、飼い主の理想は、ペットが病気をせず、
幸せに長生きし、眠っている間に、あっという間に苦痛もなく命の終わりを迎えることでしょう。
もちろん、多少の前兆はあったほうがよいでしょう。お別れを言うことができるからです。
老いた病気の猫は、クローゼットなど暗いところに入り込み、
1日か2日してから亡くなっているのが見つかるというケースがあります。
こうした場合、最終的な原因は餓えと脱水ということになります。