ペットのお墓まで作るような国は、
世界で日本だけなのでしょうか。
古来、日本人はあるがままの自然を受容し、
動物とも適度な距離を置いて接してきた伝統を持っていました。
しかし、ペット動物となると事情が著しく異なってきます。
ペットは人間の目的に即した生活を余儀なくされたあげくに、
亡くなるわけですから、必ずしも幸福であったとは言い切れません。
しかし、飼い主はペットを犠牲にしてすまないという意識は持ちません。
癒しや安らぎ、喜びを与えてくれたことへの感謝と、
家族の一員として生活してきた強い絆による、
別離の悲しさや寂しさなどの感情とから、
供養をしたり、墓を作ったりするのです。
いわば、墓は心のよりどころなのです。
また、多くの動物がペットとして可愛がられている一方で、
残念なことに多くの動物が捨てられているのも事実です。
全国の動物保護センターや動物愛護センターが捕獲したり、
飼い主から引き取ったりした犬猫のうち、
新しい飼い主に譲渡されるのは極めて少数で、
大多数は処分されてしまうのげ現状です。
日本人は論理的思考に基づいて判断し、
行動するという伝統が薄いために、情緒的に考えてしまいます。
そのために、不妊手術、安楽し、といった、
決断と責任を要することを結果的に回避する傾向があります。
最終的に様々な事情かから飼いつづけることが困難な状況が発生すると、
事態を先送りして自己責任を避けようとし、
捨てたり、自治体に処分を委ねるという安易な道を選択するケースが多いのです。
現在の日本では、業者が動物を殺す役目を全て背負うことにより、
消費者は動物を殺すことから完全に隔離されるため、
何の負い目もなく動物を捨てることができるのでしょう。
処分された動物のために慰霊碑が各自治体の施設に設置されて、
自治体の関係者により慰霊祭が行なわれています。